令和二年6月 会長先生法話

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    会長法話 

     

    怠け心に負けない

     

        庭野日鑛 立正佼成会会長

     

    精 進 が 大 事 と 知 り な が ら

     

     昔の流行歌に、「わかっちゃいるけど やめられねぇ」という一節がありました。おもしろおかしい表現ながら、私たちの心のはたらきをみごとにあらわしています。

     

     現に私たちは、ともすると、なすべきことを怠ったり、しないと決めたことを、ついしてしまったりします。お互いさま、「わかっちゃいるけど……」と、反省することが少なくないのではないでしょうか。

     

     ところで仏教では、「常精進」が大事と教えます。また、儒教などの聖賢の教えでも、常に学び、身を修める努力をつづけることの大切さが説かれます。それは、人間の心の成長に「これでいい」という終わりがないからでしょう。

     

     一般に仏道は、「この上なくすぐれた道」という意味で、「無上道」といいます。ただ、私はこの言葉の意味も「たとえ悟ったと思っても、そこがこの道の終点ではない。智慧に目ざめる可能性に、際限はないのだ」と受けとめるほうが、向上をめざす活力が湧いてくるように思うのです。

     

     だからこそ常精進が大切なのですが、私たちはつい「少しくらいサボっても」といった思いに負けてしまいます。

     

     「嬾惰の意 及び懈怠の想を除き 諸の憂悩を離れて 慈心をもって法を説け」とは、法華経「安楽行品」の一節です。だれもが抱く、サボりたいとか飽きたという気持ちを釈尊もよく理解されていたのでしょう、「心の内から湧いてくるさまざまな誘惑や迷いをふり払い、安らかな心で、みずから楽って、喜びのうちに精進できるように」と、釈尊は私たちにこの品を説いてくださったのだと思います。

     

    待 っ て い る 人 が い る

     

    「学んで時に之を習う。また説ばしからずや」。孔子の言葉です。子どもが大人を見て「あのようになりたい」と思い、その真似を繰り返すように、目標をもって学び習うとき、それが楽しくて仕方なくなるという意味です。

     

     このことは、信仰の世界にもいえます。「笑顔を心がけよう」「感謝を忘れない」……など、なんであれ、日々の目標や信仰の目的が自覚できれば、あとはその思い(心)を貫くための精進を繰り返す(習う)だけです。それが「習慣」となって身につくことで、喜びはさらに増します。

     

     そう考えると、自分がなぜ信仰しているのか、なんのために日々精進するのかという、目標や目的をつかむことが、喜びのうちに精進する基本となるのでしょう。 

     

     しかし、それがわかっていてもなお、内心の誘惑に負けてしまうのが人間です。ただ、迷うのも楽をしたいと思うのも自然なことで、ときには心の逃げ場も必要だと思います。そのとき、目的や目標を忘れなければいいのです。

     

     また、たとえば読経供養にしても、サンガ(同信の仲間)の集まりにしても、決めたことだからといって、無理をすることがいいとは思えません。体調がすぐれなかったり、忙しかったりして疲れたら、休んでいいのです。精進をつづけるためにも、無理は禁物だということです。

     

    「安楽行品」には、「一切を慈悲して 懈怠の心を生ぜざれ」ともあります。人を思う気持ちが盛んなときは、飽きたり怠けたりする心が生まれないというのです。どれほど疲れていても、わが子のために労を惜しまない母親の姿が思い起こされますが、それはつまり、「自分を待っていてくれる人がいる」と思うとき、人は自己中心の思いから離れ、その人の役に立ちたいという願いが湧いてきて、精進の一つ一つが喜びや楽しみに変わるということでしょう。

     

     日本だけでなく、世界がさまざまな困難に見舞われています。「慈心をもって法を説け」とありましたが、みなさんのまわりには、あなたを待っている人はいませんか。

     

    「佼成」6月号   会長先生のご法話は、こちらで視聴できます。

     

    電子版

    https://www.kosei-kai.or.jp/kaichohowa/202006/#target/page_no=1

     

    朗読版

    https://www.kosei-kai.or.jp/kaichohowa/podcast/rodoku202006.mp3 

    なお、次回は6月5日に更新いたします。



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